給湯器選びは専門業者との二人三脚で
①給湯器を大別するとガスと電気
日々の生活を快適に送るために欠かせないお湯。給湯器があるおかげでいつでも気軽に利用できますよね。では給湯器にはどういう種類があって、どんな仕組みでお湯を供給しているのかご存じですか。「気にしたこともなかった」という方がほとんどではないでしょうか。でもそれはちょっとモッタイナイこと。給湯器の種類や仕組みを知っていれば、電気費や燃料費を節約できるからです。そこで、給湯器についてご説明しましょう。
色々な機種や性能の製品がありますが、ザックリと分類するとガス給湯器と電気給湯機に大別できます。そしてそれぞれにはスグレモノが存在していて、ガスを利用するタイプがエコジョーズ、電気を利用する製品がエコキュートなので、今回はこの2つの仕組みと違いについて述べていきましょう。
まずエコジョーズ。従来型のガス給湯器は水道管から汲み上げた水を熱することでお湯を作り出します。ところがエコジョーズは水をガスバーナーで熱する前にバナーの炎によって発生した200~230℃にも上昇した給湯器内の空気=排熱の中を潜らせます。そのままでは‟熱いお湯”の温度には達しませんから、暖められた水をさらにガスバーナーで熱することによりお湯にするというわけです。これならばバーナーで直焚きするだけなのに比べてガス使用量はかなり節約できますよね。つまり従来型のガス給湯器に比較するとかなりガス代を節約できることが、エコジョーズの優れた性能だといえるでしょう。CO2の排出も抑えられますから、環境にも優しいガス給湯器ですよね。
CO2排出の節減とうことならば、電気を利用してお湯を供給するエコキュートもスグレモノ。
エコキュートの原理についてご説明しましょう。
まず思い出していただきたいのが中学生時代に習った理科。気体を圧縮すると熱が発生すると習いましたよね。エコキュートはこの原理を利用しているのです。まず給湯器の周囲の空気の熱を「熱交換器」というユニットで取り込みます。熱交換器にはパイプが通っていますがその中は「自然冷媒=CO2」で満たされていて、熱交換器が取り込んだ空気の熱で温められるので急膨張。その自然冷媒を今度は圧縮機というユニットでギュッと圧し潰すと冷媒は高温を発生。その熱で別のパイプで水道管から吸い上げた水を熱してお湯を供給するというのがエコキュートです。エアコンの暖房と同じ仕組みというと何となく納得していただけるでしょうか。
なんだかエコジョーズに比べると複雑ですが、メリットは何でしょう。液体や気体の温度を上げることを、ちょっと専門的な言葉で「熱交換」といいます。エネルギーを熱に変えるということですね。エコキュートはこの熱交換効率が非常に高くて、使用する電気エネルギーに対してその3倍以上の熱を生み出すことができるのです。非常に効率的な給湯器ということですね。
とはいえ、外気から熱を取り込むのだから、寒冷地では使用できないのではという疑問を持ちなるかもせれませ。でも心配無用。通常仕様のエコキュートでも、外気温がマイナス10℃くらいまで問題なく稼働します。さらに寒冷地仕様の製品ならば、なんとマイナス25℃程度まで条件はありますが使用可能ですからご安心を。それじゃあ、エコキュート交換したいという方は、信頼のおける給湯器専門業者へ相談してみてください。
②初期費用とランニングコストを見よう
ここまでの説明でご理解いただけたと思いますが。エコジョーズもエコキュートも従来型の給湯委に比較すると非常に効率的なのが最大のメリットです。実際にこの2つの給湯器は従来型の製品からの交換ニーズが高くて、登場以来ものすごい勢いで出荷台数を伸ばしてきました。
そこで、エコジョーズとエコキュートのメリットとデメリットへと話を進めましょう。まず初期費用。本体価格と設置工事費用の合計を見るとエコジョーズは17~44万円くらいです。価格に幅は給湯のみから追い炊き機能、自動足し湯機能、自動配管洗浄機能、浴室暖房乾燥、床暖房機能などのオプションが付加されることによります。一方、エコキュートの初期費用を見てみると、30~53万らくらい。初期費用に関してはエコジョーズのほうに軍配が上がるといえるでしょうか。
では日々の使用で発生する費用、つまりランニングコストはどうでしょうか。こちらは初期費用と比べるとちょっと複雑。なぜかというと家族構成やライフスタイルで給湯器の使用頻度は変わるからです。
たとえば単身世帯ならば、1日のかなりの時間を学校や職場で過ごしますよね。ということは料理を作るとしてもおそらく1回、あとはシャワーを浴びる程度という方が大半でしょう。2人世帯だと授業・講義や仕事で両方とも部屋にいる時間が短い場合と、片方だけが長時間外で過ごす日が大半というケース、さらに両方とも部屋で過ごす時間がほとんどという暮らし方ではかなり給湯器の使用の仕方には違いが出ます。さらに3~4人、あるいは4~5人など多人数の世帯だと、お子さんがいて夫婦で片方だけが働いているのか共働きなのか、お子さんが幼年、小学生、さらに中高生や大学生なのか、あるいはすでに働いているのか…。とかなり多くのパターンがあり、それによって給湯器の使用頻度もまったく違います。
とはいえ、エコジョーズとエコキュートの基本的なランニングコストには違いがあるので、それについてご説明しましょう。エコジョーズは都市ガスあるいはプロパンガスを燃やした時に発生する熱で水を温める給湯器ですから、水道管から汲み上げた水を瞬時に加熱してお湯を供給します。ですから水やお湯をためる貯水タンクは必要ありません。
これに対してエコキュートは電気料金が安くなる深夜帯に水をお湯にしてタンクへ貯蔵しておいて、翌日にそのお湯を利用するというシステムです。このため貯蔵タンク内のお湯を使い切ってしまうと水しか出なくなってします。タンク内のお湯が切れたら新たにお湯を貯めることはできますが、時間がかかるのが最大のデメリット言えるでしょう。
ただし、最近は太陽光発電とAIを連動。「AI予測制御機能」により太陽光発電で発生した電力の余剰分を給湯用の熱源へ利用することで、昼間にお湯を炊いても費用を抑制できる機種も登場しています。
③激甚災害時の安心感を比較
ところで蛇口から出てくるお湯ってそのまま飲んでも問題ないのでしょうか。水道管から汲み上げた水をすぐにお湯にして使用するエコジョーズのようなガス給湯器ならば大丈夫です。しかし、お湯をいったんタンクに貯めてそれを使用するエコキュートのような電気給湯器の場合は「推奨されない」とうのが業界の見解です。熱することで殺菌効果のある水道水中の塩素が揮発してしまうので、危険とは言わないまでも完全に安全とは言えないということですね。
しかしものすごい降雨量で床上どころか1階が水没するような台風、あるいは大型の地震などの激甚災害が発生した時にはエコキュートは威力を発揮します。タンクに水が貯まっているわけですから、非常ならばそれを熱して飲むことができるからです。
激甚災害時には水道・電気・ガスなどのライフラインも深刻なダメージを受けます。では復旧までの時間はどうなっているのでしょうか。阪神淡路大震災と東日本大震災の時におけるライフライン9割が復旧するまでに要した日数を見てみましょう。
◎阪神淡路大震災
電気→2日
水道→37日
ガス→61日
◎東日本大震災
電気→6日
水道→24日
ガス→34日
どちらの災害でも最も復旧までに要した時間が短かったのは電気です。
つまりガス給湯器よりも電気給湯器のほうがより速く使用できるようになる可能性が高いとうことになります。もちろん、大きな災害が発生した時にはかなり迅速に自衛隊が救援活動を開始しますから、自宅の給湯器に頼る必要はないかもしれません。でも安心感はありますよね。
以上、エコジョーズとエコキュートについてみてきました。給湯システムの原理などは説明が拙くてわかりにくかったでしょうか。もっとも言い訳ではなく、この内容をすべて理解して覚える必要はありません。ご自宅の給湯器をエコジョーズやエコキュートへ交換したいのならば、信頼できる地元の給湯器専門業者へ相談すればいいからです。
とはいえ‟丸投げ”ではなく、こちらからある程度具体的な要望を伝えた方が、話が速く進みますし、より良い提案をしてもらえると思います。満足できる快適なお湯ライフの実現は信頼できる専門業者とあなたの二人三脚で実現しましょう。